「キラ☆キラ」プレイ中。千絵姉ルートを終えた所。

もうほとんど神ゲーとしか言いようがない。目からお汁が止まらない。


キラ☆キラ~Rock'n Rollshow~(通常版)

キラ☆キラ~Rock'n Rollshow~(通常版)


今、一通りエンディングまで終えました。ええ、神ゲーでしたね。君望マブラヴFateクラスの神の領域に完全に到達している。

エロゲーのパッケージにある「ジャンル」欄は、殆どネタのような形で各作品趣向を凝らすものだが(ex."強気っ娘攻略アドベンチャー"「つよきす」の場合)、キラ☆キラの場合どうか。メーカーであるOVERDRIVEのHPをあたると、

青春恋愛ロックンロールノベル

とある。その通りである。まず、大前提として本気でロックをやる青春モノというのがある。学祭のためにド素人がバンドを組んで、楽器を揃えて、スタジオに通って。何故か同級生にインディーズシーンでのスターがいて教えを乞うたりして。スーパーマーケットの正面でゲリラライブをやって、河原で練習して。ボロワゴンで貧乏ライブツアーをやって、ライブハウスでライブして。まず、こういった音楽面での本気っぷりがたまらない。ミッション系の学校なのに、校歌をパンクアレンジして学祭をジャックしたりする。こういうノリがたまらない。ちなみに、ゲーム内で使われている楽曲も、通常のエロゲでは考えられないほど、まじめにバンドサウンドを追及しているから凄い。普通に聴けるクオリティだ。CD買いそうだ(と思ったら「第二文芸部」扱いでアルバムだシングルだが出ること出てること)。

と、まぁ常識的な物語だったら、このような熱い青春モノで普通終わる。というか、これだけでも十分凄い。しかし、キラ☆キラの場合、それだけでは終わらない。濃い音楽生活を綴ったライブツアーまでをAパートとするなら、それに匹敵するほどのBパートが存在する。今のところ、千絵姉という主人公の1コ上の幼馴染ルートを終えた。ちなみにパートはドラム。彼女には両親の離婚と家族の崩壊、という重すぎるテーマがある。そもそもそれが原因で彼女は留年もしている。Bパート冒頭で、幼い頃はご近所の「千絵ちゃん」で、いつの頃からか疎遠になって、学園生活での一年間でバンドを組み急速に交流を深めていった「千絵姉」と、もはや必然の流れとして恋仲になる。そこで主人公は、千絵姉にかかわり、受け止めようとする。

物語の面白い所って、GAP・対比だと思っているのだが、このキラ☆キラはまさにそれを王道で行っている。明るくギラギラした青春ロック物語が一転し、受験・恋愛・家庭問題と、ディープでリアルな現実問題が否応なく現前する。にもかかららず重くなりすぎないのは、やはり学園最後の夏にやった本気のバンド活動があるからなんだ、とどう考えても読めてしまう。そして、千絵姉ルートの場合、両親の離婚に伴う種々の問題(父親との離別、父親の再婚相手との対面、精神的に参っていた母親との向き合い...etc)に、一応全部ケリをつけようとする。そのシナリオの粘り強さに感動を覚える。

そしてラストはやはりライブ、音楽、仲間に還元されていくこの熱さ・・。かつて、インディーズシーンをシンデレラの如く駆け上がって行った「第二文芸部バンド」の面々が、学園生活の最後を飾るべく行った「ゲリラライブ」で物語の全ては収束する。完璧としか言いようがない。

下世話な話、いわゆる僕の言う「出来のいいエロゲ」では、エロシーンは飛ばす。単なる進行上の一お約束に過ぎないからだ。だが、キラ☆キラ@千絵姉ルートは違った。違うのだ。読まざるを得ないのだ。二人がどうやってバンドを通して再開した幼馴染から、大切なパートナーへ変化していくのか。キモっ!! と思うかも知れない。自分でもそう思うもの。だが違うんだねぇ・・。


あとひとつ言及すべき点として、「けいおん!」との類似性が上げられる。奇しくもほぼ同時期に発表された「女の子バンドモノ」(キラ☆キラの場合厳密には違うがw)である。

けいおん!」 2007年5月「まんがタイムきらら」初出
「キラ☆キラ」 2007年11月発売

けいおん!」の作者であるかきふらい自身、「キラ☆キラ」発表当初からそれを意識するような発言があったようだが(要出典)、それにしても物語のクオリティとしては、天地ほどの差がある。京アニの仕事によって音楽面を強化されてアニメ化されなかったとしら、単なる萌え四コマに終わっていただろう「けいおん!」も、アニメ前提だがそれなりにバンドする女の子たちを描いてはいる(参照:「けいおん!」視聴−−「あずにゃん問題」を考える - 雑想ノオト - 良いモノに触れたときの感動は代替不可能だから)。だが、二つの作品の物語の出来は、明らかなGAPがあると言ってまず間違いない。言うまでもないが、知名度と物語の出来は反比例している。


まぁとまれ神レベルにあることは間違いない。キラ☆キラ。みんなやろうぜ!